Column
コラム

たくちゃんの日常(仮説からの実践)

トレーニング
著者:川辺拓史

NSCAの研究によると、
加圧トレーニング(BFR)において、高頻度トレーニング(1~2回/日)を3週間のサイクルで行う方が、週3回ペースで長期的に継続するより筋肥大効果が高いそうです。
特に最初の3週間サイクルにおいて、筋肥大が最大化するようです。
ただし、過剰な頻度でのBFRは回復が追いつかないため、適切な休養管理が勧められています。


加圧トレーニングは一般的に「長期間にわたって継続することで、安定した体力維持や筋肉の成長を目指せる」といわれるものですが、このNSCAの研究からわかることは、加圧にも「増量期」「減量期」「回復期」などのサイクルにのせた「ピリオダイゼーション法」もあるということです。


これまでBFRを行う際は、基本の奨励法を変えずに圧や種目でバリエーションを作ってきました。
今回はそれに縛られず、ケガで落ちた筋肉を戻すため「増量期」として、セット数や時間から見直した方法を2ヶ月半試しました。

まず最初の6週間は、週3回の高加圧トレーニング(140mmHg)を続けました。具体的な方法は4つ前のコラムに記載した通りです。
その結果、その1ヶ月半で2kgも筋量が戻ったので期待以上の効果でした。 この間は回復力も上がり、翌日に疲れを残すことはなく、頭も体もスッキリした状態が続いていました。


次に、続けて30日間、高加圧トレーニングを毎日続けました。トレーニング法は一緒です。

変化の勢いは途端に落ちましたが、骨格筋量は怪我する前の数値を超えて微増。
私の歳であれば増やすこと自体が難しくなっているので十分かもしれません。
しかし、2週間過ぎたあたりから疲労度が激しく出るようになりました。 その疲労というのは、筋疲労ではなく、全身の倦怠感。 頻繁に眠気に襲われます。
恐らく、内分泌が増えすぎて内臓の疲れからくるものだと思います。


筋肉をつけるのに必要なのは、「筋刺激」「栄養」「休息」といわれますが、もう1つ『ホルモン』が欠かせません。
そのホルモンというのは主に、成長ホルモン、男性ホルモン、そしてインスリンの3つです。

50歳を過ぎると、トレーニングの質や強度を上げても、ホルモン分泌が減ってくるため筋肉がつきにくくなります。

加圧トレーニングでは成長ホルモンの分泌を促す効果がありますが、その効果を生む生体反応をひもとくと、「乳酸の蓄積」と筋肉への酸素供給を減らすことでおこる「代謝ストレス」がキーとなります。
NSCAガイドにはもう一つ大事なことが書かれていて、50%:1RMを超える重量は意味がないともあります。
重すぎないウエイトでこのポイントを抑えた加圧トレーニングを行うことと言えます。
そこから推定される効果的なトレーニング法は、「圧力」を上げて「短時間インターバル」で「高回数の反復」となります。

さらに、乳酸分泌が多いほどパンプアップ感が残るので、加圧バンドを外したあともパンプ感を維持したまま(消さないように)通常の筋トレを続けることで成長ホルモンの分泌量を増やすことができると考えられます。
加圧で鍛えられない部位も続けてトレーニングすることで、ホルモン分泌の高い状態で全身トレーニングをおこえるということです。

あわせて、食事面では「インスリン」を1日じゅう出し続けることで「アナボリックな状態」をつくることができます。カタボリックでは脂肪もつきませんが、筋肉はつきません。
そのために、2~3時間ごとにおにぎり(炭水化物)を1~2個食べるようにしました。
それまでは3時間ごとにプロテイン/たんぱく質を接種していたのですが、内臓負担を減らすため たんぱく質摂取に関しては回数も量も2/3まで減らしました。


10年以上一緒にやっているトレーニングパートナーとこうした論文やコラムを読み漁って、仮説をつないで作ったトレーニングプランの一部がこの内容です。
加圧に続けて行っている通常の筋トレも、体の一部が疲れた状態で行うため、重さにこだわらず、ターゲット部位に最も負荷のかかる重点可動域の意識と、毎セット追い込まないアセンディング法を取るようにしました。

感覚に頼ったトレーニングもありだと思いますが、理屈を知っていた方がアレンジや微調整がしやすく、科学的トレーニングは効果(結果)を求める人にとって特急券みたいなものになります。
また、自分では当たり前になりすぎて見えなくなっていることもあるので、客観的な視点から、アジャストしてもらうことも大きなポイントです。

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